@葉の働き


葉の診断の前に、『葉の働き』とは何かを整理してみましょう。


葉の役目はなんと言っても、『光合成(コウゴウセイ)をすること』です。
根で吸収した水と、気孔などから吸収した二酸化炭素を光のエネルギーを利用して、
炭水化物と酸素を作るのが『光合成』です。
葉で作られたこの炭水化物が根の方向に向かって移動していきます。

ちなみにこの移動の最中に、その途中途中の組織でこの栄養が消費されます。
主に『内呼吸(ナイコキュウ)』と成長に使われるのです。


葉の役目は光合成なのは間違いないのですが、
しかし、その他にも葉があるのと無いとではどんな違いがあるのかを考えてみましょう。

なぜなら、落葉期や衰退時にはいままであった葉が突然なくなることはよくあり、
それが樹体や周辺にどんな影響があるのかを頭に入れておく必要があるからです。


葉の役割として次に挙げられるのは、
『覆っている』
と言う表現になるのでしょうか・・・

葉がついているおかげで、枝や幹に当たる日光が弱まり、
温度上昇を抑えたり、乾燥しにくくなったりしています。
地面に対しても同じ効果があります。

これは特に、老齢木の枝が年々枯れ下がってしまう原因になっている場合が多いのです。


まず最初に根の機能が、何らかの原因で低下し、水分吸収量が減り、梢端部が枯れる場合があります。
最初の原因はそれなのですが、その後、上述のようにどんどん枯れ下がる現象がよく見られます。
その直接的な原因が『
幹焼け(ミキヤケ)』にあるケースをよく見受けられます。

つまり、テッペンの枝葉が枯れたことにより、
その下の枝にそれまでとは比べ物にならないくらい強い日光が当たるようになり、
樹皮が薄いため、高熱にさらされ細胞が死ぬ。
死なないまでも、より乾燥することになるため、活性の落ちた老木には耐えられない。
そのため枝が枯れる。
次の年は、またその下にある枝が同じように枯れる・・・
このように連鎖的に起こります。

これをただ単純に老齢木だから仕方ないといって木のせいにすると手遅れになります。


ちなみにちゃんと樹皮はついているのに、なぜ幹焼けするのか?
→それまでの環境に適するように体を作っているため、
直接日光があたる環境ほどの樹皮の厚さを備えていないため。

これは、造園関係の方ならば常識だと思うのですが、
樹木が圃場で植えられていた東西南北の向きを
例えば南北を逆にして移植すると幹焼けを起こす。
それを防ぐのが『幹巻き(ミキマキ)』です。
上述の枝の枯れ下がりを防ぐには、まずは梢端部の枝に幹巻きをするのが先決です。
とても大変な作業になりますが。


葉の機能としてもうひとつ、
雨を防いでいるという効果も見逃せません。
雨が地面に当たる衝撃は相当なもので、
ぶつかった土壌の団粒構造(ダンリュウコウゾウ)は破壊されてしまいます。
そのため土の表面が固く緊密になり、水も空気も通りにくくなってしまいます。


このように葉には物理的な働きもあります。


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