H 枝の病害虫


枝につく虫は、葉に近いところでは葉の害虫(カイガラムシ等の吸収性害虫など)がつき、
幹に近いところでは幹の害虫(カミキリムシ等の穿孔性害虫など)どがつきやすいものです。

しかし、枝というものは、日当たりが悪ければ枯死するように出来ているので、
枝が病気や虫にやられても、本来ならあまり大きな問題とは言えません。

問題なのは、『樹木自身が枝と幹の分離をスムーズに出来なかった場合』です。
枝に入った病原菌が、幹の中はおろか根までも拡がることがあり、
そうなると、事態は深刻です。


ではどのようなときに『枝と幹の分離をスムーズに出来ない』のでしょうか?
自然界ならば、樹勢が弱っているときには分離があまりうまく行かず、
分離層を菌糸に突破されてしまうこともあるでしょう。

しかし、我々の身の回りで、この
枝と幹の分離をスムーズに出来ない
という状態は多発しています。

それは、『剪定』です。

剪定は、樹木自身は枝を落とす記などさらさら無い時に、
突然、人間によって枝を落とされるので、
樹木はその対応におおわらわとなります。
それでも樹木が元気であれば、直ぐに反応して、
構造的に枝だった部分と幹とを遮断してV.樹幹F物理的な傷)しまいます。
(右写真参照。材の節の部分とその周辺の色が濃くなっています。
 その濃い部分が枝と幹を遮断している部分です)

不幸にしてこの遮断が間に合わなければ、
菌が侵入し、その菌糸は通道組織を伸びて根までも達してしまいます。
侵入してしまった菌を殺すことは、もう出来ません。
その腐朽部分は将来、幹に空洞を作り、幹折れの原因になることがあります。

樹木衰退の二大原因は、
地面の固結と、悪剪定による腐朽菌の侵入です。
ですので、
剪定には細心の注意が必要なのです。(参照→Cどこまでが枝なのか?



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