@ 植物の生き方――植物進化の戦略と戦術


動物と植物の違いはなんだろう?

細かく言えば色々な言い方が出来ますが、
私がまず言いたいのは、
戦略の違いです。

特に、『エネルギー戦略』と『生き残り戦略』が全く違います。

最初のエネルギー戦略についてですが、
動物は自ら移動してエサを得るのが普通です。
(その場に漂っているエサを取り込んでいるものもいますが)
植物は光合成により、無機物から有機物を自分で合成して、
それを自分で利用しています。


次に生き残り戦略について。

動物では基本的にどのように生き残るのか?

@移動して逃げる

A物や植物などの動かないもののフリをする

B個体数を増やして個体レベルではなく、
 その種全体として生き残る者がいるようにするなど。


植物ではどうでしょうか?主には

@個体数を増やして個体レベルではなく、
 その種全体として生き残る者がいるようにする

A食べられても死なないようにする
などが挙げられます。

個体の大きさが小さい者ほど@を採用し、
大きいもの(つまり樹木)ほどAを採用する傾向にあります。

つまり
植物プランクトン食べられる→数を爆発的に増やす
草→全部食べられることは少ない。少なくとも根は残るし、繁殖力もとても強い
樹木→巨大化。一部を食べられても屁でもない。


では次に、そんな樹木を殺せる事例を考えてみます。

樹木を殺せる菌や動物はとても限られています。
マツクイムシ、ナラタケ菌、
ゾウも木を一本丸ごと倒すらしいですね。
つる性植物は巻きついて『巻き枯らし』をすることがよくあります。
シロアリは死んだ部分しか食べないので樹木を殺すことはありません。
一般的はその他の菌も死んだ部分にしか菌糸を伸ばせません。
シイタケの原木栽培をしたことがあればお分かりかと思います。
テレビなどでよく取り上げられる、酸性雨については、
酸性雨には樹木を枯らすような力はありません。
酸性霧にしても、樹木全体を殺すのは余程の場合で、梢などの一部分です。


というわけで、結論から言えば、

樹木を殺せるのは人間くらいのものです。

余談ですが伐採を除けば、その主な原因は、
根や枝の切断』と『踏圧による土壌の固結』です。


コラム〜
異種コミュニケーション実践編〜の 「樹木と草の生き方の違い」 参照

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