[.総合的な樹木診断


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春の診断では、早春の、葉が出掛かっている時期が一番大切な時期です。
この時期によく観察すると、同じ樹種でも、
個体により葉が出る時期がバラバラなことがわかるかと思います。
また、一本の木の中でも、枝により、早く芽が出るものもあれば、
なかなか芽を出さない枝があるのがわかるかと思います。


写真@

例として、2枚の写真で説明しましょう。

まず写真@は並木として植栽されているケヤキですが、
隣り合っている木だが、片方は既に青々としてきているのに、
もう一本はやっと葉を出してきたような状態です。
少なくとも地上の環境は大差無いので、
植栽時の扱われ方や剪定の状況などが原因で、
の樹木の方が左よりも元気であるのではないかと考えられます。

また、この写真の左の樹木では下部よりは上部の枝の方が葉が
早くたくさんつけているのが見て取れます。
ただし元々遺伝的な個体差もありますのでその点はご留意下さい。


写真A

次に写真Aの例では、向かって右側の枝には葉が茂っていますが
左側の枝は葉の出方が弱いのが見て取れるかと思います。

これは、幹や太枝(フトエダ)の腐朽の悪影響が左側の枝に大きいためかと思われます。
このように、一本の木の中でも、部位によって葉が出る時期にかなりの差異が
見られることがあります。
これは、昨年以前における、この枝の成長量(=光合成量)が
相対的に少なかったことが原因である事例が多く見られます。
何年にも渡ってしっかりと光合成をしてきた枝には、
しっかりとした芽が作られ、発芽した後の成長も旺盛です。


写真B

この樹木では写真@とは反対に下部の葉の方が
展開が早いのが判りますでしょうか?
つまりこの場合は、何らかの理由で上部より下部の方が光合成が
活発であったのではないかと思われます。
同様の事例は多く見受けられます。


なぜ部位により葉の出方や葉の大きさ、色などが違ってくるのかは、
概論の『X.葉 A葉の大きさ・密度とその意味』で詳しく説明していきます。


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