A 花は樹木の健康のバロメーターになるのか?


さて、ここでは花つきが良い悪いが、
樹木の活性とどのような相関関係があるのかを
解説していきたいと思います。


まず簡単に花がつきにくい時はと言うと、
@ 伸長成長の盛んなときには花をつけにくい
A 不作の時には花をつけにくい
B 衰弱している時には花をつけにくい

反対に花がつきやすいのは
C ある程度成長が進み、成熟してきた後は花をつけやすい
D 豊作の時には花をたくさんつける
E 死ぬ間際には、最期の花を大量につける。


さて、花をつける目的ですが、
種をつけて子孫を残すためですよね?
つまり、たくさんの種を残すためには、
花をたくさんつけなければなりません。

なぜ、子孫を残すのか?というと、
自分が死ぬからです。
逆に言えば、自分がまだ少年期であれば、
子孫を残すことよりも、自分の成長が最優先になるでしょう。
そのため上記の@Cのように上に伸びる時期には
あまり花をつけないのです。

次にADについてですが、
樹木では種は毎年同じようにつくのではなく、
年によって豊作、不作があります。
この豊作不作の周期は樹種によって決まっています。
豊作の年の種は大きく、発芽率も高いのに比べ、
不作の年は種も小さく、発芽率も低くなります。

次にBEですが、
相反することを書いているように見えますが、
『衰弱の程度』が問題なのです。
『衰弱している時』には花をつけるよりも
自分が死なないようにすることで精一杯なので
花をつけずにエネルギーを節約します。
しかし、衰弱が進んでもう死んでしまう、
となると、子孫を残す為に一斉に花をつけ、種をつけるのです。
マツクイムシにやられた松を観察すると、
マツボックリが大量についています。
これも枯れることを感じて、子孫を残そうとしている姿なのです。


以上のことを踏まえれば、
花も樹勢をはかるバロメーターになります。
しかし、単純に花がついているから、ついていないから、といって、
活性が高い、低い、を言う事は出来ないことを分かって頂けましたでしょうか?



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