C葉の発芽と展開について


植物が葉を展開する(ひろげる)ことを
展葉(テンヨウ)
と言います。

冬芽』には葉になるための芽(葉芽ハメ)と花になるための芽(花芽ハナメ)があり、
外見からでも判別できます。
例えばサクラでは、
細身の芽は葉芽で、少しプックリした形をしているのが花芽です。

まるで昆虫のサナギのように、葉芽には葉が、花芽には花が収められています。


左:元気の無い枝のもの  右:元気の良い枝のもの (いずれも同じ木)

昆虫の場合は、縮まるように収められていた脚や羽に
体液がまわれば、短時間で体が大きくなり、
成虫となりますが、
葉芽の場合は、
水分がまわって膨れるようなものではありません。

葉が大きくなる春先に、
しっかりと光合成出来た葉は、
大きな葉をつけることが出来ます。


葉葉を出す順番を観察してみましょう。
樹種によっても勿論違いますし、
同じ種類でも立地条件によってやはりかなりの違いが出ます。
そして、『枝によっても葉の出方は違います』。

前年までにしっかりと光合成して、
枝に栄養を十分に蓄えたものから発芽します。
つまり、冬の時点で既に葉が早く出るものと
遅く出るものは決まっていて、
芽の外見からも判断が出来ます。

右の写真に写っているのは、二本ともケヤキです。
これは春先の展葉の時期のものですが、
向かって右側のケヤキは全体的にもう青々と茂っているのですが、
左のケヤキは一部の枝だけ葉を出しているのが分かるかと思います。
葉を出していない枝は別段、枯れているわけではありません。
この様に樹勢によって葉を出すタイミングが変わり、
枝ごとの健康度によっても変わるものなのです。

発芽の早いものは、大きな芽で、
発芽の遅いものは、比較的小さな芽となっています。


展葉』は、光合成が十分に出来ていても、
うまくいくとは限りません。
葉の展開時期に、葉を食べられると、
変形します。
その変形を見ると、展開のどのくらいの時期に食葉されたのかがわかります。

林学の世界では、
一般的に言って、上の方(頂端部)の葉は小さく、下の方の葉は比較的大きい
とされていて、光合成の性質・能力も異なります。

しかし、あまり高くなっていない樹木で、
まだまだ植えに伸びる力が強い場合は、
頂端部の方が葉が大きいことも多いようです。


観察しているとどうも、
展葉時期に、その葉にどのくらい十分な水分が供給されているのか?
が大きな要素となっているように感じます。

頂端部は風当たりが強く(蒸発が多い)、
日当たりが強く(温度が高くなりすぎて夏季の光合成量が落ち込む)、
水が上まで上がりにくいため、
高木の頂端部では水分条件が厳しいのが普通です。


以上のことを踏まえると、葉の発芽を観察することによって、
根の状態も推察できます』。

とくに頂端部の発芽の状況をよく観察してみてください。
葉が出るのが遅い』部分がある場合、
その枝に対応している根』が
他の根に比べて『弱っている』ことがわかります。
根元周辺や根を直接診断することによって、
どの部分の根が弱っているのかは判断できますので、
逆にいえば、
その弱ったり痛めた根が、どの程度の期間、どの程度の悪影響を及ぼしたのか
が、その根に対応した枝の発芽や展葉、葉の大きさを観察することによって分かるのです。



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