⑫葉の診断について
ⅱ）病害、虫害、その他の害の見分け方
『葉が食べられているなら虫害である。』
これくらいなら誰でもわかるのですが、
例えば『樹冠の中で、一部、葉が無い』
といったケースでは、どのように診察すれば良いのでしょうか？
① 虫に食べられてしまった場合
虫の食べあと、いわゆる
被害を受けた葉を良く観察すれば、虫に食べられた痕が発見できるでしょう。
② 病害に冒されて、落葉してしまった場合
まだ落葉していない葉があるハズですので、
残った葉の病害の発生状況を観察すればわかります。
③ 風当たりが原因の場合
樹冠の一方が弱っているときにはまずこれを疑います。
街路樹やビル風が吹くところにミズキ類など、
もともと深山に生きているような樹種が植えてある場合にも
大体これが原因です。
もともと空中湿度が高い環境で進化しているので、
風がいつも当たるような過乾燥な環境では厳しいものがあります。
④ 根に障害を受けている場合
実はこれが圧倒的に多いケースです。
周辺に道路や水路などの工作物が無いか観察します。
根元が車の通り道や駐車場になっているケースもとても多い。
根が弱ったり、切断されると、その根に対応した枝が枯れてしまいます。
水分の供給が足りなくなるためです。
⑤ 日当たりが原因の場合
まず最初に④などが原因で、一番上の大枝が枯れ、
新たに日が当たるようになった、少し下の枝が弱っている場合は
これを疑います。老木の大木に多いケースです。
その木の持ち主や管理している人に、
前歴を聞く必要があります。
（最初の枝が枯れた理由を突き止めるため）
その後、順次、枯れ下がっているならば、
まずは幹焼けが原因です。
④の根が切断されたような場合に比べ、
枝が枯れるのに、少々時間がかかります。
しかしダメージは確実に深くなっていきますので
早めに枝に幹巻きをしておく必要があります。