D切断



根が切断されると、どのような症状が表れるでしょう。

住宅や構造物の建築、道路の敷設、ガス管の工事など、
周辺の樹木を根が痛められる例は枚挙に暇がない。
そして、土の下のことなので、
土を元に戻してしまえば、何もなかったかのように
なってしまいます。
そのため、根が切断された事実はなかなか確認しにくいものです。

しかし、太根が切断されると、大枝が枯れます。
この反応は非常に早いため、
そのため、根が切断されたことは直ぐに分かります。

太根が切断されると、太枝が枯れ、幹が部分的に枯れます。
つまり幹の一部の肥大成長が止まります。
これは桜を例にとると理解しやすいかと思います。

特にソメイヨシノでは、幹にネジレのようなものが
確認できるかと思います。(右の写真参照)
これは、枝枯れに対応する幹の部分が枯死し成長が止まるため、
まだ生きている部分が肥大成長するため、
その成長の差がネジレとなって見えているのです。
サクラはもともと、道管や師管などの木理が
右回りに走っているのです。


根の切断は、樹木の健康に大きな影響がありますが、
他にも注意しないといけないことがあります。
それは、倒木の危険です。

特に広葉樹ではこの点の注意が必要です。
幹が傾斜している広葉樹では、
その樹体が倒れないように、
傾いているのと反対側」に根を張り、
体を引っ張り上げています。
これを引張アテといいます(その壱G参照)
言うなれば、ワイヤーを張って、倒れないようにしているわけです。

ということは、そのワイヤーが切られてしまうとどうなるでしょう?
・・・倒れてしまいますよね。

倒木は家屋や人命に関わることですので、
注意が必要です。

傾いている樹木の周りで工事する時には気を付けて下さい。


「樹木診断概論」のページに戻る