Fどうやって成長するのか


『成長が良い』と一言で言うには問題があります。
成長には、
いわゆる『伸びる』成長である伸長成長と、
いわゆる『太る』成長である肥大成長があるからです。
同じ成長でも、樹木診断においては少々意味が変わってきます。

また、細胞単位で言っても、
細胞分裂によって『数を増やす』ことによって大きくなる成長と、
その細胞一つ一つが大きくなることによって大きくなる成長があります。

そして、細胞分裂をする場所は決まっている。
伸長成長では生長点と根冠であり、
肥大成長では形成層です。

細胞単位で言えば、細胞分裂は生長点、根冠、形成層で起き、
その分裂した細胞がそれぞれ大きくなります。


@)樹木の伸長成長
A)樹木の肥大成長


A)樹木の肥大成長について

樹木の肥大成長は形成層を舞台にして行われています。
形成層の模式図

この図は形成層を模式的に表したものです。
(分かりやすくするため、あくまで模式図です
 実際の細胞はこんな形はしていません)


木材の木口面(コグチメン)を見ている感じです。
色の薄い方が内側で、濃い方が外側です。
青くしている部分が形成層で、
黒線が、師管と導管の境目だと思ってください。
青い部分で盛んに細胞分裂を起こしています。

赤い矢印で示したように、
黒線を境にして内側に導管、外側に師管の細胞をどんどん作っていきます。

形成層である黒線の視点で見ると、
形成層の両側に細胞がどんどん出来てくるのには
かわりはないのですが、
黒線の位置はどんどんと外側に移動していきます。

なぜなら、
黒線から内側には導管の細胞がどんどん出来てきますので、
風船に空気をどんどん入れると膨れていくように、
黒線の位置はどんどん外に移動していきます。

それにつれて、黒線より外側にある師管や樹皮の細胞は
どんどん外側に追いやられていく形になります。

その形成層付近の栄養供給状態が良いと、
当然、分裂した細胞も大きくなります。



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