E 道管(ドウカン)師管(シカン)木理(モクリ)について


道管(導管)は根から葉に向かって水を通す組織、
師管(篩管)は葉で作られた炭水化物を根の方向に送ったり、
根などに蓄えた栄養を葉の方向に送ったりする組織です。


形成層という、幹や枝などで肥大成長をするための組織がありますが、
(伸びるためではなく、太るための組織)
幹や枝では、この形成層の内側には道管の組織(これを木部モクブという)、
形成層の外側には師管の組織(これを師部シブという)


毎年暖かい季節には成長が著しく、寒い時期には当然成長は鈍くなります。
この鈍くなった部分が輪になって見えるので、
これを年輪と呼ぶ。


年輪はその木の毎年毎年のシルエットとほぼ同じなので、
その毎年の木のシルエットを重ねていくと、
その木の年輪とほぼ同じになります。
(模式図『年輪と構造の関係』参照)
この図は、道管・師管・年輪が幹や枝をどのように形作っているかを
模式的に示しています。

枝の組織が、樹木の中心部にまで及んでいることが見て取れるかと思います。
参考までに、こちらの写真(枝の内部構造)を見て下さい。

これはあるお店で使われている柱を写したものです。
樹種はマツです。
切り口がちょうど節のところですので、
枝が幹とどのようにつながっているのかを
見ることができます。

これは、枝の剪定や、腐朽の広がり方や、
木材の節、薪の割り方にまで影響を与える重要なものです。
年輪は木材で言えば『木目』(『木理(モクリ)』)です。


次に、枝を切った後、組織がどうなるのかを模式的に示したものが、
年輪と構造の関係 その2』です。

ここでは、4年目樹木の左上の枝を根元から切った後、
2年が経過した状態を示しています。

このように赤い部分で枝が切られて、新しい枝が出たとします。
二年後、右下の枝は幹の中心部まで物理的につながっており、
青い線で示した部分(立体的には円錐状になる)で幹の組織とつながっている。

片や、剪定後の胴ぶきで出た枝は緑の線で示すように
樹皮に近い部分で幹につながっている。


強い剪定をされた後に出てくる胴ぶきは徒長枝(トチョウシ)となるが、
これは成長が旺盛であるためすぐに太くなります。
そのため素人目にはそれが徒長枝なのかを見分けるのが難しくなります。

しかしいくら太くても、上述のように幹とのつながりが弱いため、
強風などで根元から折れやすく危険なのです。


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