A光合成(コウゴウセイ)について―今日のご飯は、『お水』です。



c) 光合成部位と非光合成部位とのバランス


樹木の健康度を考える時には、
『光合成をしている部位の量』(→つまり『葉量』)
と、
『光合成をしていない部位の量』(つまり『枝、幹、根の量』)
のバランスがどうなっているのかを
よく検討する必要があります。

家計で言えば、

光合成は『収入』で、呼吸(次章『呼吸』参照)が『支出』になります。
つまりこの収支により、家計が黒字か赤字かが決まります。

黒字が大きければ、家を増築するとか、貯金するとか、子供を増やすとか出来ますが、
赤字の方が大きければ、貯金を取り崩し、それでもダメなら
もっと安い家賃の家に引越しするとかしないといけませんし、
ご飯もろくに食べられないのですぐに病気になり、病院にも行けない。


つまり平たく言えば、
葉量の割合が大きい樹木ほど、収入が大きく、従って健全である
ということが出来るかと思います。


家計の例を樹木に言い直すと、

葉量の割合が多いと、枝を更にぐんぐん伸ばし、幹は太くなり
さらに樹体をもっと大きくします。
幹や枝や根に栄養をどんどん蓄えて、将来に備えます。

逆に葉量の割合が少ないと、
枝を落とし、樹体をサイズダウンして赤字を減らします。


私見ですが、
世の老齢木の樹形が乱れる主因は、
この収支バランスが長期にわたり崩れた結果
である場合が多いように見受けられます。

樹木は長年にわたり、栄養を体内に蓄積していきます。
そのため衰退する際にも長い期間にわたり徐々に弱るのが普通です。
そのため、衰退が人目に気付かれる頃には、
手遅れである場合が非常に多いのが現状です。




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