[.総合的な樹木診断

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冬には葉も落ち、まるで死んだようになっている樹木を相手にして、
一体全体何を診断するのか?と疑問を持たれる方も多いかと思います。
しかし、冬も案外と診断には適している季節と言えます。
落葉樹においては、もちろん冬には葉を落としていますので
葉がついている時期には見えにくかった、枝や幹の状況が見えやすくなっています。


枝や幹の傷や剪定痕(センテイコン)、巻き込みの具合などを観察してみましょう。
また、枝が剥き出しなので、どこにどのように枝を張っているのか、
つまり『樹形(ジュケイ)』をよく観察することが出来ます。

枝の伸び具合がどうなっているのか、例を挙げて見てみましょう。


写真@

一番先端に近く、色が一番薄い部分が、昨年に伸びた枝です。
枝の先端から人差し指までがその部分です。
一昨年に伸びた部分(昨年枝(サクネンシ)はこの写真ですと、親指から人差し指までの部分です。
よく観察すると、まず枝の色が少し濃く、
昨年枝と一昨年枝の間には節のような境目が見られます

このように昨年、一昨年、一昨々年・・・と観察していくと、
数年前までのその枝の成長がどのようであったかが判ります。
それにより、各年次による成長の違いが判別でき、
例えば今衰弱してしまっている枝が、
いつ頃から成長量を落してきたのかが判ります。

このように、葉のついていない枝を見ただけで、
ここ5〜6年の各枝の成長の軌跡が判ります。
これは衰退樹木の原因を探る上では非常に重要な要素となります。


参考
「コラム」第3回 樹木診断の基本ー冬季の診断(その1〜3)


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