G 葉の病害


はじめに、ここで『葉の病害』というのは、
病原菌やウイルスなどにかかっているという意味の病気です。
『葉色が悪い』とか『葉が枯れる』といった場合、
この病害以外にもいろいろなことが原因で起こりますので、
ご注意下さい。

そういう見分け方は、
[.総合的な樹木診断
の方で説明して行きたいと思います。


さて一般的に、『木が病気だ』というのは、
この『葉』に何か異常があって気がつくことが
多いように思います。
葉が落ちたり、色が茶色くなれば目立ちますから。

しかし、この項でいう狭い意味での葉の病害では、
樹木に対して決定的なダメージを与えることは
少ないと言えます。


ここで強調したいのは、
地上部に発生する病気は、普通は大した問題はない
ということです。(松枯れは除く)
(ここでいう『病気』はあくまで、
『病原菌などに冒されて』発生したものを言います。)

病原菌やウイルスに罹ったものは、
それに適した薬剤を撒けは良いだけですから。
そもそも病気に罹りにくくするために、
適正は剪定を行い、日当たりや風通しを良くすることが
とても大切です。
予防が大切ということです。


本当に怖いのは、これら病原菌などが原因でなく
葉の色が変わったり、枯れたりする場合です。

根から吸収される水分が少なくなったり、
日当たり風当たりが強くなって乾燥状態がきつくなったりすれば、
樹木は上の方の葉が小さくなり、
しまいには枯れ下がってきます。
道路工事などで太い根が切断されれば、
それに対応した枝が一度に枯れてしまいます。

葉の調子が悪いときは、根を疑う』のが基本です。


もう一つ、特異なケースがあります。
最近ずっと問題になっている『松くい虫』です。
これはマツノマダラカミキリとマツザイセンチュウが
共同で起こす病気ですので、
どちらも動物ですから、この項には適さないのですが、
簡単に説明しておきます。

そもそもカミキリムシは死んだ木やかなり弱った木に
卵を産みつけて、その幼虫がその死んだ木材を
土に帰すのが自然界での役割です。
生きている松に産みつけても、マツヤニに絡め捕られて
死んでしまうのです。
自然界はそのようにして全体のバランスをとっていることは
ご存じのことと思います。

しかし、バランスが崩れるケースがあるのも、みなさんご存じですよね?
そう、海外から入ってきた場合です。
現代の日本では厳しい検疫制度で、
海外から病気や虫が入ってこないようにしています。
その病気や虫が、その原産国では弱々しいものだったとしても、
海外ではその天敵がいないとか、
エサになる相手に抵抗力が無いため、
甚大な被害がでることが多々ありますよね。

いわゆる『松くい虫』は
明治時代に木材と一緒に、北米からやってきた
と考えられています。
ちなみに北米の生きた松にはこの病気は発生できません。
しかし、彼らに対して抵抗力を持たない日本の松たちは
ほとんど全滅に近い被害を受けています。

ちょうど人間界でいうところの新型ウイルスのようなものですね・・・



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