I 葉の獣害


アフリカのサバンナに行けば、
キリンをはじめ、色々な野生動物が葉を食べていますが、
日本において『葉の獣害』と言われても、
あまりピンとこないかもしれません。

実際、街に住んでいる人たちにはあまり関係はない話なのですが、
ここで少し触れておきたいと思います。


日本における樹木の葉の獣害というと、
『シカ』と『ウサギ』の害があります。
まだ木が小さいときに、上の方の葉を食べてしまうのです。
場所は森の中です。
具体的には、造林地での苗木や若木が被害に遭います。
野ウサギはヒノキの苗木が大好きで、
被害の多いところに行くと、
苗木の先端がカッターで切られたように
スパっと切断されています苗木がたくさん見られます。
彼らが食べるのは木のテッペンだけですので、
木が少し大きくなればもう届きません。

次にシカの害ですが、
こちらは積雪のある時期に、雪面から出ている部分を食われます。
冬場のエサ不足からくる行動なのでしょう。


このような食害は、広葉樹ではあまり問題では無いですが、
針葉樹では深刻な問題です。
彼らに食われてしまうと、幹がまっすぐに伸びれませんので、
木材生産という意味では大きな損害となります。

しかし、樹木医学的な観点、
つまり、樹木の健康度や生存に関して言うならば、
葉の獣害は、日本においてはあまり大きな問題ではない
と言えるかもしれません。



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