H造成地


自宅に庭があるという方は、
そのお庭に樹木を植えていることでしょう。
しかもその樹木の調子がどうも悪いとか、
何度張り替えても芝が枯れてしまう、
そんな悩みをお持ちの方も多いかと思います。

もちろん色々な原因がありますが、
根本的に、『その土地がどのように造成されているのか』が
一番大切な要素です。

もともと多少でも傾斜のある土地(畑であったところなど)では、
その宅地を階段状に造成する必要があります。
つまり、土を切ったり盛ったりして階段状に均して造成しています。
そのため、特に切土の部分ではもともとの土層の厚さに比べ、
極端に薄くなっていたり、ほとんど岩盤に近い状態であったりするものです。
その岩盤の上に薄く20〜40センチの土を盛っていたりします。

その岩盤より下にはなかなか水が浸透していかないので、
雨が降るとその岩盤の表面(つまり地下20〜40センチのところ)に
水が溜まってしまいます。
大抵の樹木は、根が長時間水に浸っていると
酸欠で根が腐れてしまいます。

平地でも安心は出来ません。
そこがもともと水田であった場合でもやはり水を通しませんので、
同じように根ぐされを起こします。

根がそのように痛むと、枝・葉が枯れる症状が出てきます。
しかし逆に言えば、その滞水している深さまで根が伸びて根が腐れないと
その症状が出ません。
つまり、『家を建てて、樹木を植えて数年間、
 症状が表れないケースが多々あります。

数年間症状が出ないということは、
その衰退の原因にも気づき難い、ということです。

しかし、お庭の樹木の衰退は、
この『地盤の問題』が原因であることが一番多いように思いますので、
私は、まず初めに地盤を疑います。


ちなみに地盤の調査は簡単です。
スコップで穴を掘ってみれば一目瞭然ですから。

私の場合はいつも、『検土杖』という器械で土をサンプリングして
土中深部の土質を調べています。



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