G土質・土層


土質の診断のときには、その土が、
砂っぽいのか
粘土っぽいのか
を手で触って判断します。
さらさらしていれば『砂質土(サシツド)
粘り気があれば『埴土(ショクド)』(つまり粘土)
その間であれば、微砂質壌土(ビサシツジョウド)
と呼ばれます。


質問です。
樹木はどんな土が好きなんでしょうか?


答えは
樹種によって違う
です。


ただ、一般的に言うなら、
畑のようなふかふかの土が良い
とされています。
このような土壌構造を団粒構造と言います。
(詳細はC土壌構造を参照)

ふかふかの土には、水も空気もたっぷりと含まれ、
有害な土壌菌も繁殖しにくいためです。

普通に想像してみていただくと分かると思いますが、
ふかふかな畑に木を植えたとして、
その木が弱りそうな感じはしないでしょう。

弱っている樹木の、その弱った原因を突き詰めていくと、
その土に問題があるということがとても多く、
土が主な原因でなかったとしても、
樹木を元気にする手段としては、
その土をふかふかにすることが一番です(目標は畑の土)。
ただ、木は大きいので、その土を深くまでふかふかにするのが
なかなかに大変なんですが・・・


ひどく単純に言うならば、
樹木の治療とは、土を良くすることだ
と言っても過言ではありません。

人間と同じで、体長に多少の問題があったとしても、
体力さえあればどうにかなります。


さて、自然界では、つまり森では、
土はどうなっているのでしょうか?

その前に、そもそも
土ってなんだか知ってますか?

ここで少しだけ詳しく説明しておく必要があるでしょう。

土は粒子が集まって出来ています。
土の基本となる粒は、
岩石が細かくなったもの』です。
ですので、大雑把にいえば、
細かい石
のようなものです。

岩石はその『大きさの違い』によって、
岩→石→砂→シルト→粘土
と呼ばれます。

ちなみに、それらの粒子の中心にはアルミナという、
アルミの原料になる物質が含まれていて、
電荷がマイナスであるため、
陽イオンを結合することができます。
陽イオンとはつまり、
カリウムイオンとかカルシウムイオンなど。
つまりは植物の栄養分たちです。
植物は、根の先から『有機酸』という酸、
つまり、より土壌粒子に結合しやすい陽イオンを出し、
その『入れ替え』として遊離してくる、
カリウムやカルシウムイオンを吸収して、
栄養としています。


健康な森の土はどうなっているでしょうか?
森の土は大きく分けて、
上から『F層』『A層』『B層』『C層
という『土層』から出来ています。
このうち、『』と言えるのは『A層』『B層』です。
まず一番上の『F層』は、
地面の上に乗っかっている、枯葉などです。
つまり天然のマルチですね。
その枯葉や死骸などが分解された有機物が、
土に浸みこんでいきます。
その有機物がある程度浸みこんでいる層が、『A層
その有機物をほとんど含んでいないのが、『B層』で
A層』はその有機物のため『B層』よりも黒っぽくなっています。
C層』は、土壌粒子の元になっている岩石の層です。

A層』が厚い土壌ほど、樹木も根を張りやすく、
良い土壌と言えるかと思います。
この層は、温暖で湿潤であるほど、よく発達します。

山では、地面には傾斜があり、
傾斜があるということは、
水が上から下に流れるということで、
その水が流れるときには、
当然土も流されていきます。
そのため山では、山頂や嶺などの上の方では土層が薄く、
谷などの下の方では土層が厚くなっています。
またそもそも谷沿いの土壌は上の方に比べて湿潤なため、
A層が発達しやすい条件です。

そのため、山では谷沿いの樹木の成長がとてもよくなります。



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