B息をしているということは、生きているということ



光合成について説明したので、
光合成と対になる生理反応である、
『呼吸』についても説明しておきます。

息をする、つまり呼吸をするとは
どういうことなんでしょうか?

先ずはわかりやすいので、
動物の場合から説明します。

呼吸には大きく分けて二種類あります。
『外呼吸(ガイコキュウ)内呼吸(ナイコキュウ)です。

外呼吸はいわゆる『息』で、
あのスーハースーハー言うやつです。
少し詳しく言えば、
酸素を吸い込んで二酸化炭素を出している。

では、何故に酸素を吸い込んで二酸化炭素を出さなければならないか
その答えが内呼吸です。

体内では、光合成と反対の反応すなわち
ブドウ糖の消化の例で言えば、
ブドウ糖+酸素=エネルギー+二酸化炭素+水
という反応によりエネルギーを得ています。

化学式で書くと

6126 + 6O2 = エネルギー + 6CO2 + 6H2

ですか。

化学式で書くと、丁度ブドウ糖を燃やした時と同じ形なので、
よくダイエットで
『体内で脂肪を燃焼させる』
とか表現するのはこのためです。


つまり内呼吸とは
細胞レベルで有機物を酸素とくっつけることにより
エネルギーを得ること。
その結果、ついでに二酸化炭素と水が出る

と表現しても良いかと思います。

動物は光合成と逆の反応を使って
太陽のエネルギーを取り出して、
生きているのです。


では、植物ではどうなのか?

実は植物も全く同じです。
違うのは、光合成によりブドウ糖を自分で作っている点です。

ここで強調しておきたいのは、
植物が呼吸をするということは
人間と同じく、酸素を取り入れて二酸化炭素を吐き出している
ということです。

呼吸で酸素を出すことはありません。それは光合成です。


なぜそれを強調しているかといいますと、
光合成は主に葉で行い、呼吸は全身で行う
からです。

特にこのことが重要になるのは
根の健康度を診断する時です。

根の健康度は樹木全体の健康度とほぼイコール
ですので、つまりは樹木全体の健康度に最も大きな影響がある要素なのです。

そのあたりの詳細は、別途『U.根系』の項で説明していきます。



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